ベトナムの小売構造がここまでの変容を遂げるには、当然ながら明確な背景が存在する。ここに至るまでの経緯解説を試みると、最大のターニングポイントは外資規制の緩和と、生活者の衛生意識の劇的な向上にあった。かつては「生鮮食品は毎朝チョーで買うのが当たり前」とされていたが、コールドチェーン(低温物流網)の発達によって、スーパーの店頭に並ぶ肉や魚の安全性が劇的に向上したのだ。
イオンをはじめとする日系企業は、単に商品を売るだけでなく「安全・安心」というブランド価値を持ち込んだ。これに対し、地場の巨大コングリマーチャント系列のWinMartなどは、生活圏を網羅する圧倒的なドミナント出店で対抗。伝統市場との共存を探りつつも、近代的な消費スタイルへの移行は不可逆の波となっている。