経済活動の現場でも、女性たちは決して「内助の功」にとどまる存在ではなかった。商家の女将は帳場に座って巨大な資本の差配を行い、職人の街では高度な技術を持つ女性クリエイターが活躍していた。
その代表格が、奇才・葛飾北斎の三女である葛飾応為だ。父の工房で卓越した画力を発揮し、光と影を巧みに操る「光の浮世絵師」として独自の境地を切り拓いた彼女は、絵師としてのプライドから家事を一切放棄し、筆一本で生計を立てた。長年、時代劇などが描いてきた「控えめな町娘」の枠組みには到底収まらない、尖った専門性を誇るプロフェッショナルたちが江戸の文化を豊かに彩っていた。