今回、老舗の料理人を独占取材し、昔ながらの「おくどさん(竈)」を使って米の旨味を極限まで引き出す秘伝の技について話を伺った。「釜の温度変化を音と煙の匂いで見極めるのが肝心」と語る職人の言葉には、長年の経験に裏打ちされた深い知恵が詰まっている。強火で一気に沸騰させ、吹きこぼれ直前に薪の位置をずらして絶妙な弱火に落とす技術は、デジタル制御では再現できない職人技そのものだ。
直火によって生じる強烈な対流が米粒を均一に躍らせ、ふっくらとした食感と凝縮された甘みを生み出す。釜底にできる香ばしい「おこげ」もまた、伝統のかまど調理ならではのご褒美と言える。職人は「火と水、そして米との対話こそが、おくどさんの真髄」と笑みをこぼした。