京都特有の入り組んだ路地や山裾に近い地理的要因は、捜索活動に特有の障壁をもたらしました。当時、現場周辺で捜索に協力した地元住民の証言では「日中は人通りがあるものの、幹線道路から一本奥に入ると街灯が少なく、夕暮れ以降は視界が一気に悪化する」という声が多数寄せられています。
家族が警察を通じて公表した手記や当時の記者会見では、父親が「普段と何一つ変わらない様子で出かけ、車を停めた場所もいつも通りだった。ドライブレコーダーに何か少しでも手掛かりが残っていればと祈る思いで警察に預けた」と声を詰まらせながら語る姿が記録されています。家族の切実な思いとは裏腹に、車載カメラは基本的に「車が向いている方向」しか捉えられないという物理的制約があります。
捜査陣は、父親の車が通過した前後の時間帯における通行人、配達車両、路線バスの車載カメラまで対象を広げ、映像のリレー解析(動線追跡)を徹底的に実施しました。しかし、特定の分岐路において対象者がどの方向へ進んだのかを証明する決定的な1フレームがいまだ見つかっておらず、これが現在も続く捜査の最大の難所となっています。