作者の荒木飛呂彦が創出した「スタンド能力」という概念は、バトル・アクションの文脈に革命をもたらした。とりわけ仗助の「クレイジー・ダイヤモンド」は、「壊れたものを直す・傷を治す」という極めて人道的な基本性能を持つ。
治癒能力といえば、従来のバトル・アクション作品では後方支援や守備的な役割に限定されがちだった。しかし荒木飛呂彦は、この「治す」力を究極の攻撃手段へと反転させた。アスファルトを砕いて瞬時に復元し敵を閉じ込める、あるいは敵の負傷を完治させて万全の状態で粉砕する。
破壊のための暴力ではなく、再生を経由した制裁。このパラドキシカルな能力設計が、バトルシーンに唯一無二の緊迫感とロジカルな面白さを付与している。善悪の境界線を鮮やかに飛び越えるアイデアの妙が、名セリフの説得力を何倍にも強固なものにしている。