静寂に包まれた円山の手、鬱蒼とした原生林を背に鎮座する北海道神宮。その起源は1869(明治2)年、明治天皇の詔により北海道の開拓・発展を見守る「開拓三神」が祀られたことに端を発する。北辺の未踏の地に降り立ち、京都を模した壮大な都市計画の青写真を描いた「開拓の父」島義勇(しまよしたけ)が、御神体を背負って札幌の地を踏破した記憶は、今も市民の誇りとして語り継がれている。
厳しい冬を越え、ようやく訪れた短い夏。開拓者たちが日々の過酷な労苦を忘れ、郷愁と明日への希望を重ね合わせた場こそが、この例祭であった。当初は質素な神事として始まった集いが、やがて町衆の誇りをかけた山車の運行へと発展していく。時代が平成から令和へと移り変わっても、北の大地に根差した独自の神道・祭礼文化の尊厳は微塵も揺らいでいない。