「Japanese Traditional Company」の頭文字を取った略語は、SNSや匿名掲示板を発信源として急速に浸透した。現在ではビジネス誌や採用市場の対話でも公然と使われる言葉となっている。その中核にあるのは、戦後復興からバブル期にかけて確立された伝統的日本企業(JTC)特有のカルチャーだ。
新卒一括採用で同期横並びのスタートを切り、総合職として数年おきに部署を転々とする。日本経済団体連合会(経団連)が主導してきたこの枠組みは、人に仕事を割り当てるメンバーシップ型雇用を前提に成立していた。組織への忠誠心と引き換えに身分保障を得る構造は、高度成長期には抜群の推進力を発揮したものの、変化の激しいグローバル市場においては意思決定の遅滞という致命的な摩擦を生み出している。
社内政治に長けた人間が出世し、現場の改革案が何重もの承認フローで骨抜きにされる現象は、多くの現場で今なお日常茶飯事だ。しかし、この強固な村社会構造こそが、長年にわたって国内市場の参入障壁として機能してきた皮肉な側面も見逃せない。