ハリウッドにおける大型予算の宗教劇は、長らく興行的なリスクと見なされてきた。しかし、ワーナー・ブラザースが本作へ投じた巨額の製作費は、映画産業の地殻変動を象徴している。アメコミ原作の大作映画が失速する中、観客が求めているのは消費されるエンタメではなく、魂を揺さぶる骨太な物語だ。
本作は古典的な歴史ドラマの様式美をまといながらも、テンポの良い音響設計と大胆なジャンプカットを多用。現代映画としての強烈なスピード感を獲得している。スタジオ幹部が賭けたのは、単なる信仰者向けの作品ではなく、無神論者すらも震撼させる普遍的な人間ドラマの力だ。