個人の装いという枠組みを超え、サプライチェーン全体を巻き込んだ構造変化の波がアパレル産業全体に押し寄せている。環境負荷を最小限に抑えるオーガニックテキスタイルの採用や、生産工程における水使用量の削減、サーキュラーエコノミーを見据えたリサイクル繊維の開発は、ブランド存続の前提条件となった。
一般社団法人日本ファッション・ウィーク推進機構(JFWO)が主催する東京コレクションのランウェイでも、エシカルな思想と高度なクリエイティビティが融合した新しい日常着が次々と提示されている。かつては使い捨て感覚で消費されることもあったカジュアルウェアが、今や何シーズンも愛着を持って着続けられるタイムレスなマスターピースへと再定義されているのだ。
生産背景の透明性や職人の手仕事に対するリスペクト。私たちが袖を通す一着の裏側にあるストーリーへの関心は、現代の消費者が持つ最も成熟した価値観のひとつと言える。