リメイク発表時に最も大きな議論を呼んだのが、キャスト陣の全面刷新でした。旧作において元宝塚歌劇団雪組トップスターの涼風真世氏が演じた緋村剣心は、中性的で儚げでありながら、ひとたび抜刀斎に戻れば冷徹な凄みを見せる唯一無二のアイコンとして、ファンの脳裏に深く刻まれていたためです。
制作発表会見および公式インタビューにおいて、プロデューサー陣と原作者の和月伸宏氏は「過去の偉大な実績をなぞるのではなく、今のアニメーション表現としてゼロから魂を吹き込み直すための必然の選択」であったと明かしています。少年誌の王道主人公としての説得力と、幕末に無数の命を奪った「人斬り」としての深い業(ごう)。この二面性を令和の表現様式で再構築するため、オーディションによって選ばれたのが斉藤壮馬氏でした。
斉藤壮馬氏は公式コメントや特別番組において、「剣心が背負う贖罪の重みと、神谷道場で見せる穏やかな日常の落差を、嘘のない肉声としてどう成立させるか」に心血を注いだと語っています。放送開始当初は旧キャストの残像と比較する声も聞かれましたが、第1期終盤から第2期『京都動乱』へと進むにつれ、その評価は劇的な変化を遂げました。
特に斎藤一(CV:日野聡)との死闘や、志々雄真実(CV:古川慎)が支配を目論む京都へ単身旅立つ場面で見せた「低音に宿る抜刀斎の狂気と哀哀たる覚悟」は、原作ファンからも「原作漫画を読んだときの剣心のイメージに極めて近い」と絶賛を集めています。高橋李依氏演じる神谷薫、八代拓氏演じる相楽左之助、内田雄馬氏演じる四乃森蒼紫ら実力派キャストの盤石なアンサンブルも、新生るろうに剣心の重厚な世界観を強固に支えています。