「大切に育てているのに秋になっても花が一向に咲かない」というトラブルの約8割は、剪定の時期設定に起因しています。造園学における樹木生理を確認すると、キンモクセイ花が咲かない理由の根幹には「花芽分化(かがぶんか)」のタイミングが存在します。
キンモクセイは、春(4月〜5月)に伸長した新しい枝の葉の付け根に、7月〜8月の猛暑期にかけて花芽を形成します。つまり、秋に咲く花のもとは真夏の時点で枝先にすでに仕込まれている状態です。もし「夏場に枝が伸びて見苦しいから」と7月下旬や8月に刈り込みバサミを入れてしまうと、目に見え始めたばかりの花芽をすべて自ら切り落としてしまう結果になります。
また、剪定時期以外の要因として以下の点も注意深く観察する必要があります。
- 日照不足:キンモクセイは陽樹であり、1日最低でも半日以上の直射日光を必要とします。建物の陰や大木の真下では光合成量が不足し、花芽を作れません。
- 過剰な窒素肥料:油かすや化成肥料など窒素分の多い肥料を過剰に与えると、葉ばかりが生い茂る「木ボケ」状態となり、生殖成長(開花)が抑制されます。
- 前年の過度な強剪定:太い枝を一度に切り落としすぎると、木は失われた葉を補うために枝葉の再生に全エネルギーを注ぎ込み、2〜3年間開花を休止することがあります。