羽山秋人の魅力といえば、口数の少なさの中に込められたストレートで不器用な愛情表現です。作中には少女漫画史に残る数々の名シーンと名言が散りばめられています。
読者の胸を撃ち抜いた代表的な場面が、中学の林間学校での雪の日のシーンです。紗南に想いを寄せる佐々木剛の存在に揺さぶられながら、雪の中で紗南を抱き寄せて放った「おれ、お前が好きだ」という告白は、普段の無口さとのギャップも相まって絶大なインパクトを残しました。
しかし、2人の関係は一筋縄ではいきません。紗南が長期間の映画ロケで東京を離れた際、孤独に耐えかねた秋人は、紗南の親友である松井風花と付き合うことになります。この思春期特有のすれ違いと泥沼の三角関係は、連載当時の読者を大いにヤキモキさせました。どれほど風花と向き合おうとしても、秋人の心の中心には常に紗南が存在し続けており、最終的にお互いの本心をごまかしきれなくなった2人は、痛みを伴いながらも再び結ばれることになります。