近年のコナン映画を語る上で避けて通れないのが、「興行収入の爆発的増加」と「映画レビュー評価」の乖離です。かつて年間40億円前後で推移していた興行収入は、安室透が社会現象化した『ゼロの執行人』や、灰原哀を軸に据えた『黒鉄の魚影』を経て100億〜150億円規模のメガヒットコンテンツへと進化を遂げました。
この変化の背景には、劇場版の舵取りを担う脚本家の個性が色濃く反映されています。
【劇場版コナンを牽引する主な脚本家と特徴】
- 古内一成氏(初期〜中期):『時計じかけの摩天楼』『瞳の中の暗殺者』など、原作の空気感を損なわない緻密なミステリーとラブコメの黄金比を確立した功労者。
- 櫻井武晴氏:『相棒』等を手掛ける実力派。『純黒の悪夢』『ゼロの執行人』など、公安・警察組織・国際情勢を絡めた骨太なサスペンスが得意な一方、時折ミステリー要素が極端に薄れる傾向も。
- 大倉崇裕氏:『から紅の恋歌』『紺青の拳』『黒鉄の魚影』など、キャラクターの魅力とエンタメ性を最大限に引き出す構成力に長け、近年の大ヒットを牽引。
キャラクターの魅力を前面に押し出した「お祭りムービー」化が進んだことでライト層や女性ファンを大量に獲得した反面、往年の本格推理を愛する層からは「もはやミステリーではなくスーパーヒーロー映画」と冷ややかな目を向けられることもあり、観客のスタンスによって評価が真っ二つに分かれる構造が定着しています。