国の重要文化財に指定されている壮麗な楼門をくぐると、鎌倉時代の息吹が肌をなでる。滋賀県栗東市荒張に鎮座する大野神社は、かつて金勝山一帯に栄えた神仏習合の歴史を色濃く残す場所だ。主祭神である菅原道真の知恵と誠の心を今に伝えるこの聖域は、長きにわたり地域住民の手で守り継がれてきた。
風向きが劇的に変わったのは2010年代初頭のこと。国民的アイドルグループ「嵐」のリーダー・大野智と同じ名を冠することから、ファンの間で瞬く間に知れ渡った。一過性のブームで終わる観光地が多い中、ここは聖地巡礼(コンテンツツーリズム)の成功例として異例の持続力を見せている。訪れる人々を温かく受け入れる神職の姿勢が、ファンコミュニティとの強固な信頼関係を築き上げた。