通称として親しまれるこの大社は、正式には笠間稲荷神社として宗教法人の認証を受け、神社本庁の別表神社に名を連ねる名刹だ。伏見稲荷大社や祐徳稲荷神社(または竹駒神社等諸説あり)と並び、日本三大稲荷の一角として不動の地位を築いている。
主祭神として祀られているのは、生命の根源たる食糧と産業全般を司る宇迦之御魂神(うかのみたまのかみ)。神道の根幹にある生成発展の力を一身に宿す神だ。胡桃(くるみ)の密林であったこの地で神託が下りて以来、農業神としての信仰は時代とともに商工業、水産、さらには現代のベンチャービジネスやクリエイティブ産業の守護神へとその懐を広げてきた。
境内を歩くと、整然と並ぶ狐像の鋭い眼差しに目を奪われる。どれ一つとして同じ表情はない。参拝者が奉納した無数の狐塚には、祈願成就への感謝と未来への渇望が幾重にも折り重なり、生々しいまでの信仰の熱量を放っている。