この事件が芸能史において特筆すべきなのは、綾野剛さんが所属する大手芸能事務所トライストーン・エンタテイメントの毅然とした対応です。昭和から平成にかけての芸能界では、スキャンダルや怪文書、ゴシップ記事に対して「沈黙は金」「相手にするだけ宣伝になる」と受け流す風潮が根強く存在していました。
しかし、トライストーンは騒動の初期段階から強い警告を発し、公式ウェブサイト上で異例の法的声明を発表しました。「所属タレントに対する名誉毀損や営業妨害に対しては、いかなる圧力にも屈せず、刑事・民事の双方で徹底した法的措置を講じる」旨を宣言。このブレない姿勢が、警察当局による強制捜査を強力に後押しすることになったのです。
さらに同社は、小栗旬さんが代表取締役社長に就任する新体制への移行期とも重なり、タレント個人の尊厳を守るためのコンプライアンス改革とリーガル支援体制を急速に強化しました。芸能プロダクションがタレントの盾となり、巨額のコストと時間をかけてまで刑事告訴を完遂させたこの事例は、その後のエンターテインメント業界全体の危機管理方針を根本から塗り替えるモデルケースとなったのです。