SNSやネット掲示板上では、「ゴロゴロと喉を鳴らして寝ているから体調は悪くない」「猫は丸まるのが普通だから心配ない」といった楽観論が散見されます。しかし、動物行動医学の観点から見れば、これは極めて危険な誤謬です。
猫が喉を鳴らす行為(Purring)は、母猫への合図や幸福感の表現だけでなく、骨折や内臓痛の際に自身の脳内麻薬様物質(エンドルフィン)を分泌させて激痛を和らげる「自己鎮痛行動」としても機能します。苦悶の表情を浮かべながら、うずくまって喉を激しくゴロゴロ鳴らしているケースは、限界に近い痛みを緩和しようともがいている証左です。
また、猫は「痛みを感じていない」のではなく、「痛みを悟られないように孤立した暗所へ隠れる」選択を本能的に取ります。家具の隙間、クローゼットの奥、ベッドの下などに頑なに引きこもり、呼びかけにも応じず背中を向けてうずくまる行動は、決して気まぐれな独立心ではありません。外敵から身を守るための最後の防衛機制が働いている状態です。