中之嶽神社の境内へ足を踏み入れると、一般的な神社建築とは決定的に異なる光景に圧倒されます。拝殿の背後には、天を突き刺すかのようにそびえる巨大な奇岩轟岩(パワースポット)が鎮座しており、この神社には「本殿」が存在しません。
これは、奈良時代以前の原始神道に見られる磐座信仰(巨石崇拝)の形態を今に伝える貴重な遺構です。妙義山一帯は火山活動と長年の侵食によって形成された荒々しい岩峰群であり、古代の人々は轟岩そのものに神(中之嶽大神・日本武尊)が宿ると信じ、直接岩に向かって祈りを捧げてきました。
拝殿内に足を踏み入れると、正面の窓越しに轟岩の荒々しい岩肌が間近に迫ります。神職関係者の言及によれば、巨岩から発せられる張り詰めた磁場と霊気は、妙義山全体の中でも屈指の密度を誇るとされています。社殿という人工物で囲い込まないことで、大自然の根源的なエネルギーを直接全身で浴びることができる点こそが、中之嶽神社が誇る真の神秘性です。