持ち帰りや手土産として購入した際、美味しく味わうための作法にも触れておきたい。
包装紙に包まれた天むすは、常温での持ち運びが基本だ。良かれと思って冷蔵庫に入れてしまうと、米のデンプンが老化してパサつき、職人が施した繊細な握りの妙が損なわれてしまう。冬場であっても、極端な冷気は避け、室温のまま数時間以内にいただくのが最も贅沢な食べ方である。
もし持ち帰って少し冷え切ってしまった場合は、電子レンジで激しく加熱するのは禁物だ。ラップをかけずに、500Wでわずか10〜15秒ほどほんのり人肌程度に温めるか、トースターの余熱で海苔の香りを立たせる程度に留めると、炊きたてのような風味が蘇る。
名古屋駅からの帰途、新幹線のテーブルに包みを広げ、缶ビールやお茶とともにいただく一口。名古屋の旅を締めくくるこれ以上の贅沢は、そう簡単には見当たらない。