名横綱・栃錦の神技と栃若時代!両国国技館を築いた相撲界の巨星に関する主要なデータを丁寧に解説いたします。

通算幕内最高優勝10回(全勝優勝1回)という金字塔を打ち立てた栃錦ですが、その引き際は驚くほど電撃的かつ潔いものでした。1960年3月場所の全勝対決からわずか2カ月後、続く5月場所の初日に新鋭の富樫(後の第47代横綱・柏戸)に敗れた直後、突如として現役引退を表明したのです。

まだ十分に上位で戦える実力を残しながらの早期引退には、日本中が衝撃を受けました。引退理由の真相は、自らの相撲の生命線である「スピードと反応の陰り」を敏感に察知し、横綱としての矜持を傷つけないうちに土俵を去るという江戸っ子らしい美学にありました。また、若乃花との全勝対決で燃え尽きるほどの達成感を得たこと、そして師匠・栃木山の急逝に伴い年寄・春日野を継承して部屋を率いる重責を担う覚悟を決めたことが背景にありました。