ミシンのまつり縫いで最も多いトラブルが、「表側に縫い糸が点々と浮き出てしまう現象」と「針が布を全くすくえていない空振り」です。この失敗が起きる背景には、ミシンがまつり縫いを行う際の機械的な運針メカニズムへの理解不足があります。
一般的なミシンのまつり縫い模様は、「直線縫いを3〜4針進めたあと、左側に1針だけ大きくジグザグに振れる」という規則的なサイクルで動きます。この左に振れた瞬間の1針だけで、谷折りにした表生地の「織り糸をわずか1〜2本」だけかすめるようにすくうのが理想の構造です。
表に糸が目立ってしまう場合、左に振れた針が布地の奥深くまで刺さりすぎています。逆にすくえない場合は、針の左振れ幅が布の折り目に届いていません。手縫いであれば指先の感覚で針先をコントロールできますが、ミシンでは「生地の折り位置」と「押さえについている金属製ガイドの物理的な位置関係」がすべてを決定づけます。目分量や手の感覚だけで布を送ろうとすると、ミリ単位のブレが生じて失敗に直結します。