水という物質は、本来決まった形を持ちません。つねに揺れ動き、光を反射し、時には周囲の景色を歪ませて映し出します。実写映画であればカメラを沈めれば撮影できますが、アニメーションにおいては「そこにあるはずのない水」をゼロから紙やデジタル上に描き出さなければなりません。
人が水中の映像を目にしたとき、無意識のうちに脳内で「浮遊感」や「静寂」のイメージが再現されます。水底から見上げる太陽の柔らかな光や、耳元で響くような水流の音。描かれた線と色彩にすぎない映像が、私たちの五感を強烈に刺激するからこそ、水中を描いたシーンは観客の心に深い余韻を残すのです。