インターネットは忘却を許さない。元少年Aが現在どこで何をしているのか、真偽不明の情報が飛び交う中で、かつて彼が書いた手紙の文面だけがデジタル空間を漂流し続けている。これは一種の「デジタルタトゥー」であり、社会が過去の犯罪をどのように消化し、あるいは排除し続けるべきかという重い課題を突きつけている。クリック数稼ぎのためにセンセーショナルに事件を取り上げるまとめサイトやSNSアカウントの存在は、社会の倫理観の麻痺を露呈している。
ネットに流出した「新たな影」――神戸連続児童殺傷事件から29年、元少年Aの対話拒絶と手紙が揺るがす現代社会の倫理