長年にわたり一般に混同されがちなのが「ウサギは齧歯類なのか」という疑問です。昭和から平成初期の古い図鑑や俗説ではウサギを齧歯類に含める記述も見られましたが、現在の分子系統樹解析および解剖学では完全に別のグループとして区別されています。
決定的な違いは「上あごの門歯(前歯)の本数と構造」にあります。
- 齧歯目(ネズミ目):上あご・下あごともに門歯は左右1対ずつの合計4本(上2本・下2本)。
- 重歯目(ウサギ目):上あごの大きな門歯のすぐ真裏に「小門歯」と呼ばれる予備の小さな歯があり、上の門歯が計4本、下の門歯2本と合わせて合計6本存在する。
ウサギの仲間が「重歯目(Lagomorpha)」と呼ばれるのは、上あごの歯が前後に重なっている構造に由来します。また、咀嚼(そしゃく)時のあごの動かし方にも違いがあり、齧歯類があごを主に前後へスライドさせて削るように噛むのに対し、ウサギは左右にすりつぶすように動かします。食糞行動による盲腸発酵の仕組みなど共通点も多いものの、進化の系統としては数千万年前に分岐した別系統の動物です。