長野県の方言を理解するうえで、絶対に外せないキーワードが存在します。それが「ずく」と「ごしたい」です。他県の言語体系には完全に対応する一言が見当たらない、信州人の精神性や身体感覚をそのまま表した代表的な語彙といえます。
まず、長野県民のアイデンティティとも言える長野方言ずく意味は、「やる気」「根気」「労を惜しまずに動く気力・行動力」を指します。「ずくを出す(面倒がらずに精を出す)」「ずくがない・ずくなし(怠け者、根気がない人)」という形で頻繁に用いられます。この言葉の長野県方言語源由来については諸説あり、古代語の「直(すぐ)」「尽く(づく)」に由来するという説や、動作を機敏に行う意味から転じたとする説など、言語学的な議論が今も続けられています。
続いて、身体的な疲労を訴える際に欠かせないのが長野県方言ごしたいです。単に「疲れた」というだけでなく、「全身の力が抜けるほどだるい」「骨が折れてぐったりした」という重みのある疲労感を一言で伝えるニュアンスを持ちます。農作業や山仕事などの重労働を終えた夕暮れ時、年配者を中心に「あー、今日はえれーごしたいな」と口をついて出ます。
さらに、大まかな分量や進捗を表現する信州方言なから意味は「おおよそ」「だいたい」「大半」です。「作業はなから終わった(だいたい終わった)」「なから良い塩梅だ」といった形で、中高年層から若年層まで幅広く受け継がれています。
また、食事の挨拶として全国的に有名なのがいただきました長野方言です。他県では「ごちそうさまでした」と言う場面で、長野県では過去形の「いただきました」と告げて席を立ちます。学校給食の終わりの号令でも「いただきます」に対応して「いただきました」が公式に使われており、県外に出て初めて方言だと気付く県民が後を絶ちません。