地域文化の視点から見ると、東日本と西日本で明確なグラデーションが存在していました。
東日本を中心とした「三角形・おにぎり」文化圏
関東を中心とする東日本では、古くから携行食としての利便性や神道儀礼の名残から「おにぎり」の呼び名が広く定着し、形も三角形や丸型が多く用いられてきました。特に労働の合間に手早く食べる実用食としての性格が強く、塩を効かせて固めに握る手法が好まれてきた歴史があります。
西日本を中心とした「俵型・おむすび」文化圏
一方、関西をはじめとする西日本では、伝統的に「おむすび」という呼称が多く使われ、形も「俵型(たわらがた)」が主流でした。これは、上方文化において観劇の幕間に食べる「幕の内弁当」が発達した際、重箱や弁当箱に整然と詰めやすく、箸で一口大に崩して食べやすいように俵型に整えられたことが背景にあります。
ただし、1970年代後半以降に全国へ普及したコンビニエンスストア各社が「三角形の包装フィルム」を標準化したことにより、現在では西日本においても三角形が圧倒的なシェアを占めるようになりました。流通と包装技術の革新が、地域固有の形状の境界線を緩やかに統合していった好例といえます。