本作の核心に位置するのが、江戸時代中期に異彩を放った尾張徳川家の第7代藩主、徳川宗春である。当時の幕府が推し進めた8代将軍吉宗の厳格な「享保の改革」に対し、宗春は真逆の構想を打ち出した。規制ではなく消費を促し、庶民の娯楽や経済活動を徹底的に肯定したのだ。
金色の衣装を身に纏い、白い牛に乗って城下町に姿を現した宗春の行動は、幕府からすれば異端そのものだった。しかし、彼の情熱は行き詰まった社会に圧倒的な活気をもたらした。経済を循環させ、人々の笑顔を取り戻そうとした彼の哲学は、不確実な時代を生きる現代の私たちに強烈な問いを突きつけてくる。