白寿の湯を語る上で外せないのが、浴槽を満たす「赤褐色」の濁り湯です。地下数百メートルから湧出する源泉は、地上で空気に触れることで溶存する鉄分が酸化し、黄金色から深みのある赤褐色へと劇的に色を変えます。
泉質名は「ナトリウム・塩化物強塩温泉」。最大の特徴は、温泉水1kg中に含まれる溶存物質(ガス性除く)が30,000mg/kg超という、関東屈指の超濃厚な「高張性温泉」である点です。人間の体液よりも浸透圧が高いため、温泉成分が肌からぐんぐん吸収され、短時間の入浴でも体の芯まで熱が浸透します。
浴槽の縁や床面を見渡すと、まるで鍾乳洞や棚田(千枚田)のように結晶化した温泉成分がびっしりと堆積しています。これは成分が極めて濃いことの動かぬ証拠であり、配管の目詰まりを防ぎながらこの湯を守り続ける湯守(ゆもり)の並々ならぬ管理技術があってこそ成立する景観です。湯上がり後も塩分の皮膜が汗の蒸発を防ぎ、保温・保湿効果が長時間持続します。