前橋育英を全国の頂点へと導いた名将・荒井直樹監督。その指導理念の根底にあったのは、奇をてらわない「凡事徹底」の精神だった。
当たり前のことを、誰も真似できないレベルで徹底してやり抜く。挨拶、用具の整理整頓、走塁の1歩目。グラウンドの外での行動が、土壇場での集中力と粘り強さを生み出した。大会中、ベンチ裏では選手たちが自発的に声を掛け合い、厳しいプレッシャーを笑顔で吹き飛ばす姿があったという。
荒井監督は常に「主役は選手たち」と語り、個々の自主性を重んじた。その温かくも厳しいまなざしが、あの夏、奇跡ではなく「必然の勝利」を呼び手繰り寄せたのだ。