大坂なおみ選手のパートナーという側面ばかりが強調されがちですが、ヒップホップシーンにおけるラッパー・コーデーの経歴は、同世代のなかでも際立って輝かしいものです。1997年にノースカロライナ州で生まれメリーランド州で育った彼は、十代の頃から卓越した作詞能力とフリースタイル技術で頭角を現しました。
当初は若手コレクティブの一員として「YBNコーデー」の名義で活動を展開。エミネムの伝説的クラシック「My Name Is」へのアンサーとして発表した楽曲「Old Nggas」がネット上で爆発的なバイラルを起こし、新世代のトラップビート全盛期において「言葉の意味とリリシズムを重んじる若き救世主」として一躍脚光を浴びることになります。
2019年にリリースされたソロデビューアルバム『The Lost Boy』は、批評家筋から極めて高い評価を獲得しました。同作は第62回グラミー賞において、並み居るベテランを抑えて「最優秀ラップアルバム」にノミネートされ、チャンス・ザ・ラッパーを迎えた収録曲「Bad Idea」も「最優秀ラップ楽曲」に選出。一躍コーデーはグラミー賞候補の常連へと上り詰めました。
その後、YBNの看板を下ろしてソロ名義「Cordae」となってからも歩みを止めず、2022年の『From a Birds Eye View』、そして近作に至るまで、スティーヴィー・ワンダーやリル・ウェイン、エミネムといった音楽界の生ける伝説たちと対等に渡り合っています。コーデーの代表曲・人気曲としては、前述の「Bad Idea」に加え、洗練されたフロウが光る「Have Mercy」、アンダーソン・パークとの抜群の掛け合いを見せる「RNP」などが挙げられ、ストリーミング再生回数は全世界で数十億回規模に達しています。