「バツをつけるのが本当に心苦しい瞬間がある」
都内の私立高校で教鞭を執るある英語教師は、そう苦笑交じりに明かす。文法的には間違いなくゼロ点。だが、表現の発想力や文脈の捉え方としては「100点をあげたい」と感じる答案に遭遇することが頻繁にあるという。
「I can’t help it.(仕方がない)」を「助けられない」と誤訳した生徒に対し、その前後のストーリー性を考慮して三角(部分点)をつけるべきか。厳格な評価基準と、目の前の答案から溢れ出るクリエイティビティとの間で、採点者は夜な夜な葛藤を繰り広げている。