事件の本質を紐解くうえで、宗教団体と政治家との不可解な関係性を無視することは不可能だ。山上徹也が抱き続けた熾烈な殺意は、母親による高額献金で家族が破産し、人生の選択肢を奪われた凄惨な体験に端を発する。そしてその怒りの矛先が向かったのが、元首相の安倍晋三だった。
世界平和統一家庭連合(旧統一教会)と政界の深い繋がりは、事件を機に過熱した報道によって白日のもとに晒された。家庭崩壊を引き起こす霊感商法や解散命令請求へと至る社会的断罪の動きは、個人の怨恨から始まった凶行が国政を揺るがす地殻変動へと発展したことを如実に物語っている。