ネット上では「雨雲レーダーで水色(1〜2mm/h)なら傘はいらない」「雨雲の現在地さえ見えていればゲリラ豪雨は完全に避けられる」といった言説が散見されますが、これは気象観測の構造を誤解した危険な認識です。
第一の盲点は、「レーダーが捉えているのは上空の雨粒であり、地上に落ちるまでに時間差と蒸発・拡散がある」という点です。強い下降気流を伴う場合、レーダーにエコーが映った直後にはすでに地上で激しい突風と豪雨が始まっていることがあります。逆に、上空で急速に雨雲が発達している初期段階では、レーダーのビームが雲の低層を通過してしまい、初期エコーの検知が数分遅れるケースが存在します。
第二の盲点は、地形によるレーダー電波の遮蔽(シャドウイング)です。山口市北部の山間部では、周囲の山に電波が反射・遮断されることで、実際の降水量よりもエコーが弱く表示されるエリアが局所的に生じます。「青色表示だから大丈夫」と過信せず、空の暗転や冷たい風の吹き出しといった五感による環境変化を併せて捉える姿勢が不可欠です。