皮ごと油調理で吸収率急増!人参の栄養を逃さない驚きの食べ方にまつわる最新トピックを分かりやすく発信ます。

長年、料理の世界では「生の人参にはビタミンCを破壊する酵素が含まれているため、他の野菜と一緒に生で食べてはならない」という説がまことしやかに語られてきた。この酵素の正体はアスコルビン酸酸化酵素(アスコルビナーゼ)だ。確かに生の人参をすりおろすと、他の食材に含まれる還元型ビタミンCを酸化型に変えてしまう作用がある。

しかし、近年の生化学では、酸化型に変化したビタミンCも体内で再び還元型に戻って利用されることが判明しており、「ビタミンCが完全に消滅する」という解釈は過去の誤解に近い。それでも気になる場合は、熱を加えるか、レモン汁や酢などの酸を少量加えるだけで酵素の活性は容易に失活する。キャロットラペにビネガーを合わせるフランスの伝統的な知恵は、風味だけでなく栄養学的にも理にかなっていたわけだ。

また、加熱と生食の議論において忘れてはならないのが食物繊維の存在である。人参には不溶性食物繊維と水溶性食物繊維(ペクチン)がバランスよく含まれている。生食のシャキシャキとした食感は咀嚼を促して満腹感をもたらし、加熱して柔らかくなった食物繊維は腸内細菌の格好のエサとなって腸内環境の正常化に寄与する。調理法による優劣ではなく、目的に応じた使い分けこそが肝要だ。