今やエド・シーランの代名詞となったこの曲ですが、誕生プロセスには音楽業界の常識を覆す意外なドラマが存在します。当時のインタビューや公式証言から、その制作の舞台裏を紐解きます。
リアーナへの楽曲提供から始まったセッション
2016年、エド・シーランはプロデューサーのスティーヴ・マック(Steve Mac)、スノウ・パトロールのジョニー・マクダイド(Johnny McDaid)とともに楽曲制作を行っていました。当初、彼らが想定していたターゲットはバルバドス出身の歌姫リアーナ(Rihanna)や、ガールズグループのリトル・ミックス(Little Mix)でした。エド自身は「自分のアルバムに入れるつもりは全くなく、誰かに提供するポップソングを作ろうとしていた」と英BBC等の取材で明かしています。
制作途中で「put that body on me」といったフレーズを書いた際、エドは「リアーナが歌えば完璧にハマる」と考えていました。しかし、歌詞が進み「Van The Man on the jukebox」と書き加えた瞬間、「いや、リアーナはヴァン・モリソンなんて歌わないだろう」と立ち止まることになります。完成したデモ音源を聴いたレーベル(アトランティック・レコードUK)の代表ベン・クックは即座に「これは絶対に君が歌うべきだ。次のアルバムのリードシングルにする」と強く主張し、エド本人のリリースが決定しました。
TLC『No Scrubs』との類似性とクレジット追記の真相
リリース後、世界的な大ヒットを記録する中で、楽曲のプリコーラス部分のメロディラインが1999年の大ヒット曲、TLCの『No Scrubs』に酷似しているという指摘が相次ぎました。法的なトラブルに発展する前に、エド・シーラン陣営は迅速に対応し、『No Scrubs』のソングライター陣であるキャンディ・バラス、タメカ・コットル、ケヴィン・ブリッグスの3名を正式に『Shape of You』の共作者としてクレジットに追加しました。この透明性の高いビジネス判断も、長期的なヒットを支えた重要な要因と評価されています。