神保町といえば、日本を代表する出版の街だ。かつてこの界隈にあった多くの出版社では、夜遅くまで明かりがともり、締め切りと闘う編集者やクリエイターたちがしのぎを削っていた。彼らの胃袋を支え、疲弊した頭脳にエネルギーを注入してきたのがこの場所だった。
伝説的な漫画のネームがこのテーブルで練り上げられ、大ヒット雑誌の企画が深夜の雑談から生まれたという逸話は数知れない。店内を見渡せば、どこか懐かしいポスターや長い年月を経て味わいを増した壁面が目に入る。単なる飲食店という枠を超え、文化の担い手たちが夜な夜な集う「サロン」としての役割を果たしてきた歴史が、空間の端々にまで染み込んでいるのだ。