組織の混迷をさらに深めたのが、トップ同士の熾烈な権力闘争である。神社本庁において実務の最高責任者である総長を長年務めた田中恆清氏と、名誉と伝統の象徴である統理の鷹司尚武氏(元伊勢神宮大宮司)の間で、前代未聞の対立が表面化した。
不動産売買疑惑や裁判の敗訴を受けて、鷹司統理は組織の信頼回復を図るべく総長の退任を促したが、強固な権力基盤を持つ田中総長派はこれを断固として拒絶。統理による総長指名の手続きを巡って双方が対立し、規程の解釈を巡る泥沼の争いが展開された。伝統と礼節を重んじるはずの神道の中枢で、一般企業顔負けの露骨な主導権争いが繰り広げられたのである。
10年以上にわたる長期政権がもたらした権力の集中と硬直化は、地方の神社本庁に対する発言力を奪い、異論を許さない専制的な組織体質を作り上げたと批判されている。