太古の地球、特に隔離された島嶼環境には、現代の常識を覆す規格外の絶滅巨鳥たちが君臨していました。
マダガスカル島に生息していたエピオルニス(通称:象鳥)は、長年「史上最大の鳥」として知られてきました。ロンドン動物学会をはじめとする2018年の詳細な骨格再分類研究により、エピオルニス属の中でも最大種『ヴォロンベ・ティタン(Vorombe titan)』の平均体重は約650キログラム、最大推定個体では800キログラム以上に達していたことが判明しました。これは小型の乗用車や成牛に匹敵する圧倒的な質量です。遺された巨大な卵の化石は、1個でニワトリの卵約150〜160個分、容積にして約8〜9リットルという途方もない大きさでした。
一方、ニュージーランドの生態系の頂点に君臨したジャイアントモアは、頭頂までの高さが最大3.6メートルに達する「史上最も背の高い鳥」でした。モアの特徴は、翼の骨が完全に退化して痕跡すら消失していた点です。捕食性の哺乳類が一切存在しなかったニュージーランドにおいて、彼らは草木を食べる大型草食動物のニッチを独占していました。
しかし、なぜ彼らは現代まで生き残れなかったのでしょうか。発掘調査と放射性炭素年代測定が示すモアの絶滅理由は、人間(マオリ族の祖先)の入植に伴う過剰な乱獲と森林伐採でした。天敵を知らずに進化してきた巨鳥たちは人間への警戒心を持たず、繁殖サイクルが極めて遅かった(年に数個しか産卵しない)ため、わずか数百年という短い期間で地上から姿を消してしまったのです。
さらに太古の海には、翼開長が6メートルを超えるペラゴルニスのような偽歯鳥類(嘴に骨性のトゲを持つ絶滅種)の化石も見つかっており、地球史における鳥類の多様性とスケールには驚かされるばかりです。