地球上に存在する1万数千種を超えるアリの中で、働きアリ(職アリ)として世界最大の座を争っているのが、南米に君臨するディノポネラ(Dinoponera gigantea)と、東南アジアの熱帯雨林に生息するギガスオオアリ(Dinomyrmex gigas)です。
アマゾン熱帯雨林を代表する巨大昆虫であるディノポネラは、働きアリ単体の体長が30〜40mm(最大で約45mm)に達します。漆黒の頑強な外骨格と鋭利な大あごを備え、小型のカエルやトカゲ、他の昆虫を単独で仕留める捕食者です。一般的なアリのような明確な形態的「女王」を持たず、働きアリ同士の儀礼的闘争によって優位に立った個体(ゲーマーゲート)が繁殖を担うという特異な社会構造を持っています。
一方、マレーシアやボルネオ島のジャングルに棲むギガスオオアリは、兵アリ(大型働きアリ)の体長が約30mm、女王アリは約31〜33mmを記録します。ディノポネラが重厚な装甲と毒針を持つ「重戦車型」であるのに対し、ギガスオオアリは非常に長い脚と発達した頭部を持ち、夜間に樹冠から林床まで広範囲を俊敏に徘徊する生態が特徴です。
日本国内で一般的に観察される最大種クロオオアリ(働きアリ約7〜12mm、女王アリ約18mm)と比較すると、ディノポネラやギガスオオアリは体長だけで3〜4倍、体積比では数十倍に相当し、現場で対峙した際の威圧感は昆虫の域を遥かに凌駕しています。