猿之助のハラスメント問題がもたらした影響は、歌舞伎の舞台だけに留まらなかった。TBS系日曜劇場『半沢直樹』での強烈な敵役・伊佐山部長役で全国的な知名度と評価を得ていた猿之助は、テレビドラマや映画界でも引く手あまたのトップ俳優として君臨していたからだ。その人気絶頂の中で起きた騒動と直後の事件は、映像業界にも未曾有の混乱を巻き起こした。
特に甚大な打撃を受けたのが、公開直前だった映画『劇場版 緊急取調室 THE FINAL』である。内閣総理大臣という物語の根幹を担う重要な役柄で出演していたため、公開延期と大規模な撮り直しを余儀なくされた。損害額は数億円規模に達したと囁かれ、映画製作委員会やスポンサー企業は対応に追われた。テレビや映画業界におけるキャスティングの現場でも、コンプライアンス遵守の確認が急激に厳格化される契機となった。