世間に最も大きな衝撃を与えたのは、「なぜこれほど多くの男性が木嶋佳苗を信じ込み、大金を差し出してしまったのか」という疑問です。木嶋が利用したのは、当時普及し始めていた大手婚活サイトや出会い系サイトでした。
木嶋は「名門女子大卒のピアノ講師」「家事手伝い」などとプロフィールを偽り、料理や家事スキルの高さを徹底的にアピールしました。ル・コルドン・ブルー仕込みを謳う本格的な手料理を振る舞い、男性の胃袋と心を掴む演出を行っていたのです。
【男性心理を掌握した3つの心理的アプローチ】
- 「古風で尽くす女性」の演出:慎ましく家庭的で、男性を立てる言動を一貫して取り、結婚相手としての理想像を演じ分けた。
- 巧妙な金銭要求ストーリー:「学費が足りない」「遺産相続の手続き費用が必要」など、同情心や庇護欲を刺激する理由を提示。
- 結婚を前提とした肉体関係:出会って間もない段階で将来の約束を交わし、男性に「運命の相手」と思い込ませて警戒心を解いた。
殺害の偽装手口も極めて冷酷でした。睡眠薬を混ぜたシチューなどの料理や飲み物を男性に摂取させて意識を奪い、練炭コンロに着火。密閉した部屋や車内に放置することで、練炭中毒による自殺に見せかける偽装工作を行っていました。孤独を抱え、純粋に家庭を築きたいと願っていた男性たちの心理を悪質に利用した犯行でした。