筋トレではげる噂の真相は嘘?薄毛を招く科学的理由と抜け毛対策について重要なポイントを解説いたします。最新の情報をチェックしてください。

「ウエイトトレーニングを継続すると男性ホルモンが増えて禿げる」という説は、一見すると論理的に思えますが、ホルモン代謝のプロセスを無視した短絡的な俗説に過ぎません。毛髪医学において、筋肉の発達を促すテストステロンそのものが毛根を攻撃することはないと証明されています。

抜け毛を直接引き起こす真犯人は、テストステロンが体内の還元酵素である5αリダクターゼと結合することによって生成されるジヒドロテストステロン(DHT)です。DHTが毛乳頭細胞に存在する男性ホルモン受容体(アンドロゲンレセプター)と結合すると、髪の成長シグナルを止めるTGF-βなどの脱毛因子が分泌され、本来2〜6年あるヘアサイクルが数ヶ月〜1年程度に短縮されてしまいます。これが成人男性の薄毛の大部分を占めるAGA(男性型脱毛症)の発症メカニズムです。

重要なのは、5αリダクターゼの活性度や受容体の感受性は遺伝的要因によって約8〜9割が決まっているという点です。どれほど高強度の筋トレを行って一時的に血中テストステロン濃度が高まったとしても、5αリダクターゼの活性が低く受容体の感度が鈍い体質であれば、DHTによる毛髪ミニチュア化は起こりません。したがって、「筋トレをしたからハゲた」のではなく、「AGAの遺伝的素因を持つ人が筋トレ期に発症時期を迎えた」という偶発的な一致が、噂を補強する原因となっています。