法的な観座に立つと、女人禁制の問題は憲法が保障するふたつの基本原則のせめぎ合いに行き着く。日本国憲法第14条が規定する「法の下の平等」と、第20条が保障する「信教の自由」だ。
伝統的な宗教儀礼や祭祀のあり方に対して国家権力が介入することは、政教分離の観点から極めて慎重でなければならない。文化庁をはじめとする行政機関も、無形民俗文化財や歴史的伝統の保護という観点から、寺社や相撲協会の自主的な判断を尊重するスタンスを取り続けてきた。公権力が民間の宗教的信条に対して「女人禁制を撤廃せよ」と強制することは、信教の自由に対する重大な侵害となり得るからだ。
しかし、公共施設を利用した巡業や、地方自治体が関与する文化行事において女性排除が適用される場合、公費の投入と人権保障の整合性が激しく問われることになる。差別的な取り扱いを許容しない国際的な人権基準と、土着の信仰が持つ不可侵性の間で、行政と司法は極めて困難な舵取りを強いられている。