彼が最初から圧倒的なセンターだったわけではない。高校入学直後の魚住は、その大きすぎる体格を持て余し、過酷な練習についていけずコートの隅で吐き気をもよおすような弱小選手だった。監督である田岡茂一からの厳しい指導と「体格は教えられない」という言葉が、逃げ腰だった彼の背中を強く押した。
コート上の巨漢・魚住は、コートを離れれば実家の老舗割烹料理店を継ぐために修行を積む高校生でもある。家業の板前修行という特殊な背景が、彼のコート上での精神的な軸を作り上げた点は見逃せない。仲間を活かすプレイの真髄を学んだ彼は、主将として陵南高校バスケットボール部を県内屈指の強豪へと押し上げたのだ。