世間一般に根強く残る最大の誤解が、「外見や仕草でタチとネコを見分けることができる」というステレオタイプです。メディアやエンタメ作品で描かれる「短髪で筋骨隆々な男性=タチ」「中性的で小柄な男性=ネコ」、あるいは「ボーイッシュ=タチ」「女性らしいフェミニン=ネコ」という短絡的なラベリングは、当事者たちの実生活において激しい軋轢を生んでいます。 当事者手記やSNSでのリアルな告白には、外見と内面・ベッド上での役割の不一致に苦悩する声が溢れています。 「身長185cmでがっしりした体格をしているため、アプリでも初対面でも100%タチだと思い込まれる。しかし自分は完全にネコ気質。カミングアウトした瞬間に相手の態度が冷たくなったり、失望されたりする経験を何度も重ねてきた」(30代男性・会社員の手記より)「ショートヘアでメンズ服を好むスタイルですが、心も身体も完全に受け身です。いわゆる『ボイネコ』なのですが、周囲からは『リードしてくれそう』『カッコいいお姉さん』という勝手なタチ像を押し付けられ、恋愛関係に入るたびに深い疲労感を覚えます」(20代女性・デザイナーの証言) いわゆる「ボイネコ(ボーイッシュなネコ)」や「フェムタチ(可憐な容姿のタチ)」はコミュニティ内でごく当たり前に存在します。外見の自己表現(ジェンダー・エクスプレッション)と、性愛における役割(セクシュアル・ロール)は全く別の独立した概念です。見た目から役割を決めつけるアプローチは、相手の人格を無視した暴力になりかねない点に注意しなければなりません。