スリンキー・ドッグの起源は、1940年代に米海軍の技術者リチャード・ジェームズが偶然開発したスプリング玩具「スリンキー」にまで遡る。階段を自力でトコトコと降りていく金属のバネ。この単純な物理玩具に犬の頭と尻尾を取り付けた実在のトイが、やがて映画史に名を刻むキャラクターの原点となった。
ピクサーのアーカイブに眠る初期のコンセプトアートを紐解くと、映画化に際してデザイナーたちがどれほど頭を悩ませたかがよく分かる。実在のスリンキー・ドッグは胴体が完全にスプリングのみで構成されているため、アニメーションとして感情を表現させるにはあまりに無機質だったのだ。
制作陣はスケッチを何百枚も重ね、首周りにも小さなバネを仕込み、尻尾にはプラスチックのコーティングワイヤーを採用。硬質な工業製品に柔らかな仕草を宿らせるための視覚的レトリックを徹底的に構築していった。