ワスレナグサの代名詞ともいえる花言葉「私を忘れないで」の起源は、中世ドイツに古くから伝わる騎士と少女の悲恋伝説に遡ります。
物語の舞台は、青く澄んだドナウ川の岸辺。若い騎士ルドルフとその恋人ベルタが川沿いを散策していた際、ベルタは水際に咲く美しい青い小花を見つけます。愛する彼女のためにその花を摘もうと川岸へ降り立ったルドルフでしたが、足を滑らせて鎧の重みとともに冷たい激流へと呑み込まれてしまいます。
激流に押し流され、もはや助からないと悟ったルドルフは、手折った花を力の限り岸辺のベルタへ投げ、「Vergiss-mein-nicht(僕を忘れないで)」と言い残して水底へと姿を消しました。残されたベルタは生涯その花を髪に飾り、彼の愛と最期の言葉を胸に生き続けたと伝えられています。
この伝説に由来し、ドイツ語で「Vergissmeinnicht」、英語で「Forget-me-not」、そして日本でも明治時代に植物学者の牧野富太郎博士らによって「勿忘草(ワスレナグサ)」と詩情豊かに訳され定着しました。「真実の愛」「私を忘れないで」という花言葉は、命を賭して愛を貫いた青年の純粋な想いそのものを表しています。