ニキビが治った後に肌に残る変色は、大きく分けて「赤み」と「茶色」の2種類が存在します。この2つは発生している組織の深さも原因物質も全く異なるため、混同して同じケアを続けても期待した効果は得られません。
まず、ニキビ直後に見られる「赤み」は、毛包周囲の炎症を修復するために毛細血管が拡張・増生し、血液中のヘモグロビンが透けて見えている状態です。一方、時間の経過とともに定着する「茶色のニキビ跡」は、アクネ菌との戦いで生じた活性酸素や炎症性サイトカインの刺激により、基底層にあるメラノサイトが暴走してメラニン色素を過剰生成・沈着させたものです。
通常、健康な肌であればメラニン色素沈着消えるまでの期間は、表皮のターンオーバーに伴いおよそ1ヶ月〜3ヶ月程度とされています。しかし、以下のような要因が重なると、色素沈着ニキビ跡自然治癒しない理由へと直結します。
第一に、ニキビを潰したり激しい炎症が長引いたりしたことで、表皮と真皮を隔てる基底膜が破壊され、メラニンが真皮層へと滴下(メラニンドロップ)してしまう現象です。真皮層にはターンオーバーが存在しないため、貪食細胞(マクロファージ)による極めて緩慢な処理を待つしかなく、自然に消えるまで数年単位の時間を要することになります。第二に、日々の洗顔やメイクによる物理的摩擦、そして紫外線対策の不足が、すでに刺激を受けたメラノサイトを再活性化させ、色素沈着を固定化させてしまう点です。