裁判での事実上の敗北と並行して、細木氏を待ち受けていたのがテレビ界からの完全な追放劇でした。2008年春、細木氏はレギュラー番組をすべて降板し、表舞台から姿を消します。当時の記者会見や番組内では、「本業である占術の勉強に専念するため」「充電期間に入るため」と表向きの引退理由を語っていましたが、現場を知る放送関係者の証言は全く異なります。
真のテレビ降板の理由は、週刊現代の報道を機に起きたスポンサー企業の「細木離れ」でした。2000年代後半、コンプライアンス(法令遵守)や反社会的勢力排除の意識が急激に厳格化していた民放各局。墓石商法による金銭トラブルや暴力団との交際疑惑が毎週のように活字となり、裁判でも反論不能に陥った人物を起用し続けることは、ナショナルクライアントにとって企業の社会的責任を問われる致命的リスクとなったのです。
「細木氏を使い続けるならCM枠を引き上げる」という大口スポンサーからの通告が相次ぎ、民放各局の編成部は一斉に掌を返しました。どんなに視聴率を稼ごうとも、番組枠を売るスポンサーがつかなければ民間放送のビジネスは成り立ちません。「本業専念」という美名による幕引きは、局側と細木氏サイドがこれ以上のスキャンダル拡大を避けるために打った、苦肉の「体面繕い」に過ぎなかったのです。