そもそも、世界的な会員制倉庫型店であるコストコには、出店に際して一切の妥協を許さない厳格な立地基準が存在します。公式発表資料やこれまでの国内出店実績から判明している主な要件は以下の通りです。
- 敷地面積:原則として10,000坪(約33,000㎡)以上
- 建築面積:約4,000坪(約13,000㎡)ワンフロア平屋構造が基本
- 駐車場収容台数:800台〜1,000台以上を平置きまたは自走式で確保
- 商圏人口:半径10km以内の人口が概ね50万人以上
- 道路アクセス:高速道路のインターチェンジ至近、または片側2車線以上の幹線道路に面していること
- 用途地域:準工業地域、工業地域、商業地域など(市街化調整区域ではないこと)
これらのハードルを仙台市内の地理的・法規的環境に当てはめると、極めて厳しい現実が浮き彫りになります。
特に高い障壁となったのが、都市計画法上の「市街化調整区域」の存在です。仙台市内で1万坪以上の平坦な土地を探そうとすると、太白区の南部や若林区・宮城野区の東部といった郊外エリアに行き当たります。しかし、それらの土地の多くは無秩序な市街化を防ぐための調整区域に指定されており、大規模小売店舗の立地許可を得るハードルが極めて高いのが実情です。
さらに、大規模小売店舗立地法(大店立地法)に基づく周辺道路の交通渋滞アセスメントも大きな課題でした。ただでさえ交通量の多い仙台市内の幹線道路沿いへ数千台規模の車が集中する店舗を開設すれば、周辺生活道路への影響が甚大となります。結果として、用地確保の容易さ、開発スピード、行政側の受入体制のすべてにおいて、富谷市が仙台市を圧倒していたといえます。